『あたしもコーヒー飲みたいな』


彼の腕にすり寄ると、素早く逃げられた。


「ボタン押せば出るから飲めば?」


冷たい態度に少し白ける。


『ねぇ、雅也は~彼女いるの?』


ポットから香るコーヒーの匂いに包まれながら問う。
すると、少しの沈黙の後低い声が返ってきた。


「いたら普通女連れこまねーだろ」


確かに、と呟いてコップを持って彼が座る椅子の横に腰かける。


『じゃ、また自由に来てもいいんだ?』


ゴクンッとコーヒーを飲む音をさせて、無言でコップを机に置く彼に笑顔で返事を待つ。