「なんだ?俺がそんなに好きか?」
ニヤっと笑う俺様男は実に気味悪い。
あたし、なんでこんな人の告白なんて
受け入れたんだろ・・・。
「あたし、そういうの苦手で・・・」
「・・・フッ。大丈夫」
「・・・?」
「今日帰れば俺に慣れるし惚れるから」
「なっ!」
なんてナルシスト!!
こんな人このクラスにいたのね!
あたしはこの最強俺様男に一つ
質問してみた。
「あのさぁ」
「あ?」
「アンタあたしのどこが気に入って告ったの?」
「ん?進級したときに可愛かったから」
「何それ」
「・・っ、何でもいいだろ。それより」
「何?」
「俺のこと、アンタじゃなくて“優樹”って呼べよ」
「・・・」
「呼んでみろ」
「優・・樹」
「よし」
何なの?
でも・・・名前を呼んだら胸の奥が少しだけ
締められた気がした。
別に意識してるとか、
そんなんじゃないもん。
・・・。違う違う。
好きとかじゃないから。
「ホラ、帰ろう」
「・・・うん」
それにしても
帰り道に一言も喋らない優樹は
本当にさっきとは別人みたいだった。
ただ、話したのは
優樹の親友が侠太であり、
あたしの親友が夏未である、
ただそれだけの会話だった。