【蒼空side】
全力で走って来たのは
いつもの公園。
誰かに会いに来たかった訳でもない。
ただ…
ここに来たかった。
1人いつものブランコに乗る。
「はぁ…。」
ため息がこぼれた。
私は
どれだけの人に心配をかけたのだろう。
私は―…
「蒼空」
誰かが後ろから声をかける。
蒼空は振り返った。
「優輝?」
優輝は蒼空の隣のブランコに座る。
「夜の公園でひとりでブランコとか」
優輝がクスクス笑いながら言う。
「うるさいなぁ。だってさ、そういう気分なんだもん…」
蒼空がうつむきながら言う。
「どーせさ!」
優輝がブランコの上に立つ。
「『どーせ心配かけすぎだよ私…。』とか思ってんだろ!?」
「……。」
優輝がニカッと笑った。
「やっぱり図星か…」
優輝が再びブランコに座る。
「うん。」
「蒼空はそんなの気にしなくていいんだよ!」
え…。
ダメだよ。気にしなきゃ…。
「いいんだよ。ただ、俺らは好きでやってんだからさ」
なんだか
さっきまで心に乗っかっていた重みが一気に取れた気がした。
「ありがとぅ…」
優輝の方をちらっと見ながら小さく言った。
「あのさ。」
優輝が真剣な顔つきでこっちを見ながら言ってくる。
「ん?」