「はぃ!蒼空は後ろ乗ってね♪」

俺は、自転車に股がりながら言った。

なんか楽しくなってきたー♪

「りょーかい♪」

蒼空も楽しくなってきたかな?

って、蒼空飛び乗るのはなしだろ!

少し、自転車が傾く。

「危なっ!蒼空やめろー!」

俺は笑いながら言った。
蒼空も爆笑していた。

「んじゃ、しゅっぱーつ!蒼空しっかり捕まれよ?」

蒼空が落ちたら優輝に怒られるだろなー…

蒼空がぎゅっと服の裾を握った。

別に服の裾じゃなくてもいいのにさ…。

俺は、自転車を走らせ出した。

「落ちんなよ!?」

風がきもちいい

「落ちないよー♪」


しばらくすると
後ろから先生が追いかけてきた。

俺は、少しスピードを上げる。

「コラー!二人乗りやめろー!」

追い付くはずがない!

「やだー!」

俺たちは笑い合いながら学校を出た。


それから、
色々なことを話した。

ゲームとか、テレビとかー。

内容は、何でもいい!
ただ、蒼空と話しているのが楽しかった。


「あ。あそこがぅちの家だよ!」

蒼空が家を指差して言う。

「ぉお!意外にでかいね!」

蒼空はこれが嬉しかったのか裾をぎゅっとした。

「でしょー♪で、あれが優輝ん家!」

ハッ!?

「隣!?だから仲いいのか…」

幼なじみってのは知ってたけど、
隣…か。

羨ましいな。

「そうだよー♪」

いつの間にか蒼空の家の前だった。

「とーちゃく♪」

自転車を止める。

「ぁりがとー♪」

蒼空が自転車からピョンッと降りながら言ってきた。

なんか、可愛い。

「んじゃ、むりすんなよ!またなー♪」

そう言うと、俺は自転車をUターンさせてペダルをこぎ出す。

「うん♪また明日!」

俺は蒼空に手を振った。

後ろを振り返らずに。

後ろを向いたら見える、
“杉河”という表札に嫉妬しそうだったから。

優輝。
やっぱ羨ましいよ。

でも
負けねえよ!

俺は、
蒼空が好きだから。