「はぃ!蒼空は後ろ乗ってね♪」

嶺が自転車に股がりながら言った。

「りょーかい♪」

蒼空は足が痛いのも気にせずに自転車に飛び乗った。

少し、自転車が傾く。

「危なっ!蒼空やめろー!」

嶺は笑いながら言った。
蒼空も爆笑していた。

「んじゃ、しゅっぱーつ!蒼空しっかり捕まれよ?」

蒼空がぎゅっと服の裾を握ったのを確認して、嶺は自転車を走らせ出した。

「落ちんなよ!?」

風がきもちいい

「落ちないよー♪」

しばらくすると
後ろから先生が来た。

「コラー!二人乗りやめろー!」

少し太った先生だから、全然追い付いてこない。

「やだー!」

二人は笑い合いながら学校を出た。

それから、
なんか色々なことを話した。

朝の気まずさが嘘みたいに。


「あ。あそこがぅちの家だよ!」

蒼空が家を指差して言う。

「ぉお!意外にでかいね!」

嶺が大袈裟な反応をした。

「でしょー♪で、あれが優輝ん家!」
「隣!?だから仲いいのか…」

嶺は少し驚いた反応をした。

「そうだよー♪」

そんな話をしていると、もう蒼空の家の前だった。

「とーちゃく♪」

嶺が自転車を止める。

「ぁりがとー♪」

蒼空が自転車からピョンッと降りながら言う。

「んじゃ、むりすんなよ!またなー♪」

嶺は自転車をUターンさせてペダルをこぎ出す。

「うん♪また明日!」

蒼空が言うと、嶺が前を向いたまま手を振った。

「ばいばーい♪」


嶺が見えなくなるのを確認してから、蒼空は家に入った。


なんか、楽しかったなぁ

自転車乗ってる時間がいつもより短かった気がする…


でも、
いまわかった。

私にとって嶺はー…