「でもね!郁ありがと」

蒼空がそう続けた。

なんでだろ?
僕。なにも気づけなかったのに。

蒼空がその疑問に気づいたのか、頭を振った。

「ぅうん。郁とね流依のお陰で頑張れたッ!」

蒼空が手首に付けたミサンガを見せて笑った。

「ありがと…」

照れくさそうに蒼空に抱きつく流依の横で僕は言った。


なんか複雑な気分だった。
僕は蒼空の怪我に気づいてあげられなかったのに
蒼空は僕に「ありがと」って言ってくれた。


僕は―…