「おい、蒼空そろそろ行くぞ。」

優輝が蒼空に声をかける。

周りを見回すと
さっきまでいたクラスの子達もいつの間にかいなくなっていた。

「ぅ、うん。」

蒼空は、琉依と郁に「ばいばぃ」と挨拶をしてから

優輝に手を引かれて
教室へ戻った。

でも
教室へ戻る途中。
優輝がいきなり止まった。

「蒼空。大丈夫か!?」

あまりにもいきなりで
蒼空はキョトンとしていた。

「え…?」
「ぁ、足だよ。捻ってただろ?」

え…。
誰も気づいてないと思ってた。

「うん…。なんかズキズキするけど…」

蒼空は
痛むところを軽く触る。

「痛ッ!」

触るだけで足がズキンッと痛んだ。

「大丈夫か!?」

優輝が肩を持って支えてくれる。

「うん。普通の時は我慢はできるから…」
と、蒼空は一人で歩こうとする。

けど
優輝は蒼空の肩を支えたまま歩き出す。

「ゴメンな。すぐに駆けつけれなくて…ずっと立ってるのきつかっただろ?」

優輝は前を見たまま言う。

「うん…」

本当は
立ってるのもフラフラするのを
止めるだけで大変だった。

でも
優輝が気づいてくれて嬉しかった。

「でも、このまま保健室ってのはちょっと…。」

みんなに迷惑を…心配をかけたくない。

「わかってる。だから、いま教室向かってんだろ」
「うん…ぁりがと」

優輝は
頬を少しあげて笑った。