「これで閉会式を終わります。」

運動会が終わった。

クラスのみんなが
「よくやった」とか「蒼空かっこよかったよ!」と、言って駆け寄ってくる。

「ぁ、ありがとう…」

さっきよりも
涙が出てきた。


でも
一番私が「ありがとう」って伝えたいのはクラスのみんなではなかった。


「蒼空ー!」

琉依の声が聞こえる。
琉依がこっちの方に駆けてくるのがわかった。
その後ろには郁もいた。


琉依は
蒼空の近くにくるとすぐに蒼空に抱きついた。

「蒼空ぉ」
と、ギュッと手を握ってきた。

「蒼空。」

郁が蒼空を呼ぶ。

「郁。ありがと♪」

そう言って
郁にもらったミサンガを見して
ニッとピースをした。

郁も
同じことを考えていたのか
一瞬、驚いた顔をしてから
ミサンガを出して蒼空と同じように笑った。

その2人を見て
琉依は、蒼空にバレないように
郁にピースを送った。
郁もさりげなくピースを返した。


このミサンガがあったから
郁がいたから
頑張れたんだ。