そのうちに
校長も焦らすのをやめた。

また、コホンッと咳払いをした。

ざわめいていた会場が一気に静まり返り、視線が校長に集まった。


「では、気を取り直して―…」

校長が話を進めていく。

「気を取り直すのはあんただろ…」
と、後ろの方から聞こえたが気にしない。

「1年総合1位は―…」

蒼空は息を飲む。

「1年E組!」

校長が声を張り上げて言う。

クラスのテンションが一気に盛り上がった。

「各学年の1位から3位のクラスの代表は前に出てきてください。」

誰が出ていくんだろ?
クラス委員かなぁ…?

蒼空は、そう考えていた。

けど…
クラスのみんなが蒼空を見ている。

「え…?」

蒼空は
それがいまいちわからなかった。

なんでみんなこっち見ているんだろう…?

くらいにしか思ってもいなかった。

その理由を優輝が教えてくれるまでは…。


「蒼空、行けよ。」

優輝が蒼空の肩を掴んでいった。

「なんで私が…?」

蒼空は周りを見回す。

「蒼空のお陰で勝てたからだよ。」

誰かが言った。

なんだか
それがスゴく嬉しかった。

みんなに…
みんなの役に立てた…!

嬉しくて
涙が出てきた。

「1年E組の代表の人ー?」

アナウンスの先生が呼びかける。

「早く行けよ。」

優輝が蒼空の背中をポンッと叩く。

「みんな…ありがとう」

涙を拭って他の人が待つ方へ、蒼空は掛けていった。


足が痛いはずなのに、不思議と痛くなかった。