なのに…

「蒼空ゴメン!」

同じクラスの子が蒼空に謝る。

「いいよいいよ!誰でも失敗はあるから」

この子は
蒼空の次の次の人なんだが、
それまで
2位を保っていたが
途中で転けてしまった。

だから
今、蒼空たちはビリだ。

しかも
次はアンカー。

今、走っている子と蒼空が何とかしなければいけない。


現在の走者が見えてくる。

「じゃあ、私。行くね!」

そう言って蒼空は、ラインに並ぶ。

「ぅん!蒼空頼んだからね!」
「おぅ!任せとけ!」

しゃべり方が
なぜか男言葉になった。


現在の走者が来る。

「蒼空、はい!!」


前の走者から
バトンを受け取る。

勝ちたい。
みんなで勝つんだ。

「アッ」

つまづいて転けそうになる。

すぐに
体勢を整える。

だけど…。
やばい。
足捻った…。


でも
頑張って走る。
みんなのために…


後少し。
後少しだから…


「「蒼空ー!」」

誰かが
私の名前を呼んでる…?

チラッと
声のする方をみる。

そこには
郁と流依がいた。

「蒼空、頑張ってー!」

そう言って
郁は、右手首に巻いたオソロのミサンガを笑顔で指差した。


頑張らなきゃ。
みんなのために。
みんなで繋いだバトンを一番に…!