【蒼空side】

今日
郁に会えてよかった。

「蒼空ー!パスー!」

そう言って
郁は両手を広げて無邪気に笑った。


あれから
郁が友達を呼んできて人数が増えて
サッカーをした。


そういえば
中学に入ってから
一度もサッカーしてなかった。


だからか
いつもより夢中になれた。

さっきまで
悩んでいたことも何もかも忘れて…。


「ゴール♪」

郁が
喜びを全身で表しながら駆けてきた。

「蒼空はやっぱ最強だね♪」

郁は私を誉めてくれた。
けど
いつみても
郁の笑顔は最強だ。
女の私も敵わない…。

まぁ、私は女じゃないんだけどねー…。


「ありがとっ♪」

私がそう言うと
疲れているからか顔を赤くしながら

「もう一回やろー♪」

と、
みんなに呼び掛けた。


「りょーかぃ♪」

そう言って
試合を再開した。

楽しかった。
夢中になりすぎた。

だから

「おーい!」


その声が聞こえるまで
あいつの存在に気が付かなかった。