『あのさっ……』
私が何かを言おうとした時、シンが出来上がった折り紙を再び差し出した。
それを見た瞬間、悲鳴にも似た声が出てしまった
『きゃっ、な、なにそれ』
長くてクネクネしていて私の嫌いなきっとアレ。
『なにってヘビだよ?』
出た、爬虫類。特にヘビとかトカゲとかワニとか尻尾が長いやつは苦手。ってか気持ち悪い。
『そんなの折り紙で折らないでよ。可愛い動物じゃなきゃ私いらないから』
『えーじゃ虫は?カブトムシとかクワガタとか』
いやいや、虫の方がもっと駄目に決まってるじゃん。そんなの部屋に持ってきたら速攻返却してやるんだから。
『マイってけっこう女の子らしいんだね』
シンがクスリと笑ってる。
なにそれ、馬鹿にされてる?それにその言い方じゃまるで普段女の子じゃないみたいじゃん。
『それを言うならシンもでしょ。こんなに電車の本ばっかり』
折り紙なんてやってるから電車とか男の子が好きなものは興味ないって思ってたのに。
『憧れかな、まだ乗った事がないからね』
換気の為に少し開いている窓から冷気が入ってくる。シンの顔は少し寂しげだった。
『あんなの車体が長いただの車だよ。それに………
乗れるよ、きっといつか』
シンみたいないい人間がそのぐらいの望みを持てないでどうするの?
それにシンの憧れぐらい私が叶えてあげたい。
────ガラッ。
『シン君、診察の時間よ』
まだ話したい事があったけどシンは看護師に呼ばれて行ってしまった。