『あ、そうだ………』
私は再び宝物入れに手を伸ばした。
シンが折ってくれた動物の折り紙。私も折り方練習してみようかな。
シンみたいに器用じゃないけど私も何かしてあげたい。それで朝こっそりシンの部屋に置いたらどんな顔をするだろう?
───と、その時、
ギュッーッと胸を締め付けられる痛みに襲われた。それと同時に心臓の鼓動が速くなる。
『………なに…これ……』
私はとっさに胸を押さえたけれど、どんどん喉が詰まっていく感覚はなくならない。
これ、前にも経験した事ある。
私が学校で倒れたあの日もなんだか息苦しくなって気付けば意識を失っていた。
ドクン、ドクン、ドクンと心臓が耳にあるみたいに鼓動の音がうるさい。
『……はぁ……はぁ……っ』
苦しくなって数秒。私は肩で呼吸をしていた。
たまに胸が苦しくなる事はあるけど今回は何かが違う。
『……はぁ…はぁ…………はぁ……』
空気が体に入っていかない。息をしてるのに酸素不足みたいに視界がチカチカする。
やばい、これは本当に………
『…………はぁ………っ』
私はベッドに取り付けられたナースコールを鳴らした。
すぐにナースステーションと繋がったけどその声が中村さんかどうか判断出来ない。
『どうしました?』
こだまするように聞こえる誰かの声。
『……………息が……』
そう言った瞬間、私は意識を失った。