そして私は3時間後、病院に戻った。
もちろん1秒も遅れずに。

きっと少し前の私なら繰り返される入院生活から逃げ出していたと思う。でも何故か戻る足取りは軽くて自分でもびっくり。


私は再び太陽の下から病院の中へと戻り、ロビーを歩き進めているとシンの姿が見えた。

順番待ちしている外来患者に混じって椅子に座っている。


『シン?』

普通なら呼び掛けたらすぐ反応するのに今日は返ってこない。

おかしいと思い近付いてみるとシンから寝息のようなものが聞こえた。


……………もしかして寝てる?


初めて見るシンの寝顔。少し可愛いと思ってしまった。

こうしてみるとやっぱり幼いけど私だってまだ子供だ。誰かに助けてもらわないと生きていけない。私達は特にそう。


『シン、起きて』

私が体を揺らすとシンは慌てたように目を覚ました。


『わ、マ、マイっ。あれ、文化祭に行ったんじゃ………』

『今帰ってきたとこ。寝るなら病室で寝なよ』


シンがなんでロビーに居たのか私はなんとなく気付いていたけど気付かないフリをしている。

とにかく今は化粧を落として早く制服を脱ぎたい。なんだかとても窮屈で………


『マイを待ってたんだよ。なんか心配になっちゃって』


うん、知ってる。そうだろうなって思ってた。


『でもいつの間にか寝ちゃって………。
ダメだね俺は』


『別にそんな事私が気にする訳ないでしょ』


薬の副作用で眠くなる事はしょっちゅうある。
それに寝る事も私達にとっては大切な事。


『あのさ、パジャマに着替えたら屋上に行くからシンも来て』