【みんなでお見舞いに行くよ。
マイの病室何号室?】


私は画面を見つめたまま、暫く考えていた。最初に頭に浮かんだ言葉は“どうしよう”だった。

だって“行ってもいい?”って聞かれたら“大丈夫”って断れるけど“行くね”って言われたら返答に困る。


それにメールが届いていたのは1週間前。すぐに返さなかった事も気まずいけど今まで何回か断ってきた分、今回はさすがに言いにくい。


『はぁ………』

私は仕方なく自分の病室を友達に教えた。


お見舞いなんて正直、全然嬉しくない。

一気に暗くなったテンションのまま夕方を向かえ、私は約束の屋上に行った。

まだシンは来ていないらしく屋上には私1人。


手すりから外を眺めていたら丁度電車が見えた。
時間的に私がいつも帰宅に使っていた電車だと思う。


たった1ヶ月しか経ってないのに、なんだかもう懐かしい。


『マイ』


遅れてやって来たシンはグレーのパーカーを羽織っていた。…………また色がかぶってしまった。


『また同じだ』

クスクスと笑うシンは自然に私の隣に並ぶ。

二つの影がオレンジ色の夕日に照されてコンクリートにくっきり映っていた。