『はい、クジラ』

シンの折り紙の本は動物から生き物へと変わっていた。昨日はイルカ、その前はペンギンだった。


『本当シンって手先が器用だよね』


作りたいと思って作れるのがすごいよ。私なんていまだに上達してないし。


『マイにどのくらい折り紙渡したっけ?多分けっこうな数になってるよね』

きっとシン本人も把握出来ないくらい宝物入れは折り紙でいっぱい。


はじめは鶴でその次がネコ。

クマ、ウサギ、パンダ、ラッコ、ヘビ、カエル、
リス、サンタクロース、トナカイ、バラ、お雛様にお内裏様。そしてペンギンにイルカにクジラ。


その他にも一緒に折った折り紙が沢山ある。


『俺ね、マイに喜んで欲しくて折り紙始めたんだよ。マイと仲良くなるキッカケがどうしても欲しくて』

シンが照れながら言った事実。そんなの初めて知った。


だってシンは最初から馴れ馴れしくてズカズカと私の心の中に入り込んで…………いや、違う。


“岩瀬マイさんだよね?”


あの時屋上で会ったシンは少し緊張していた。
それを隠す為に必死で笑顔を作ってた。

今の私ならそれが分かる。