『中村さんに言われたの。二人が無断で外に出たのはあの子達のせいじゃないって』


中村さんがそんな事を………?

お母さんはそっとベッドに座ってギシッとスプリングが沈む。


『外出したくても出来ない、頼まれても許してあげられない私達のせいだって。それにあの二人はきっと今しか出来ない事をしに行ったんだって、
そう言われたの』


私はギュッと洋服を掴んだ。

中村さんに感謝しなくちゃ。冷たくしたり話さなかった事もあったけど中村さんも私達を近くで見守ってくれてる一人だった。


『だからマイが悔いなく帰ってきたならお母さんはそれでいい』


そう言ってお母さんは私を抱きしめた。


『………お母さん、ありがとう』

何故だか涙が溢れる。

悔いはないよ、でもね。

まだまだ沢山シンに見せたいものがあったよ。
シンはとても喜んでくれたけど私は全然足りない。


それから数日が経って、騒動が嘘のように鎮火していた。

私とシンは相変わらずお互いの部屋を行ったり来たり。


今日はシンの病室でまた折り紙のレッスン中。あれからシンは海の生き物ばかりを折って私にくれるようになった。