『私がシンの心配したらおかしい?同じ心臓病だからって競う必要はないでしょ』

ドナーが簡単に見つからない事は分かってる。

ただ症状の重い順じゃなくて適合の検査とか難しい問題がある事も。でも…………


『早くシンのドナーを見つけてあげて。シンの症状は悪くなってるんでしょ?』


クリスマスイヴの日にシンがどうして呼ばれたのか私には分からない。

だけどシンが元気になる方法は心臓移植しかないから。


『それはマイちゃんもだよ。シン君は………』


先生が何かを言おうとして途中で止めた。

先生は医者だけど付き合いが長い私には言いかけた言葉が良い事か悪い事かぐらい分かるよ。


『……なに?シンがどうしたの?シンは待ってれば移植出来るんでしょ?ねぇ、先生』

『………』


なんで何も言わないの?

だってシンはその為に長い間苦しい事も我慢してきたんじゃん。必ず元気になるって、絶対治るってどうして言ってくれないの?


『………他の患者さんについてはこれ以上話す事が出来ないんだ、ごめんね』


先生が誤魔化すようにそう言った。

なにそれ、自分で言いかけといてそれはないよ。


『私はシンの友達だよ』


『友達でも病状については………』


『いいから言ってっ!!!』


私は声を上げて先生に詰め寄った。


なんだか胸騒ぎがする。ざわざわって掻き乱されてるみたいで気持ち悪い。


『…………言って、お願い先生』


私は震える声で先生に頼んだ。すると先生は大きくため息をついて私の目を見つめる。


『シン君の移植は正直難しい。体が元々弱い上に心臓に繋がる血管が細くなっていてね、移植をしてもシン君の体は耐える事が出来ないと思う』


────ドクン。

私の鼓動が悲しく音をたてた。