私は自分の気持ちは伝えたはずだけど、先生はやっぱり医者だから核心的な答えが欲しいみたいだ。
『それじゃ、もし移植の話が来たら受けるって事でいいんだよね?』
『……』
分からない。
でも分からないじゃもう駄目なんだ。時間は待ってくれないのだから。
『………多分、ドナーが見つかったら移植はすると思う』
私の声は消えてしまう程小さかった。だって堂々と言えるほど覚悟が決まってる訳じゃない。
その答えに先生はホッとしたような顔をした。
そんな安心もつかの間に私がポツリと呟く。
『でも、でもさ………』
前のめりになったせいか座っていた椅子がギシッと沈んだ。
『でも?』
どうしよう、先生が次の言葉を待ってる。
すぐそこまで出かかっているのに何故か声に出す事が出来なかった。
『ううん、なんでもない』
────私は何を言おうとした?
きっと子供みたいな事言おうとした。
でも、私だけ移植出来ても意味ないって。
私だけ元気になっても意味ないって。
シンも一緒じゃなきゃ…………。
そんな事を私は言ってしまいそうになった。