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それから病室に戻った私はなんとか中村さんにバレずに済み、用意された朝食を残さず完食した。
『シン君の事、本当に良かったわね』
中村さんは朝からそればかり。もう10回以上は言ってるんじゃないかな。
『なにか言いたそうな顔してるよね』
嬉しいのは分かるけどこのニヤニヤ顔はなにかある。話の流れでシンの事だと言う事は間違いないけど。
『シン君ね、目覚めてからの第一声が
“マイは?”だったのよ』
きっと中村さんはこれが言いたくてニヤニヤしてたんだ。
『ふーん』
私の冷めた返事に中村さんはガッカリしている。
だって倒れる寸前まで一緒に居たんだから私の名前を言っても不思議じゃないじゃん。
記憶が飛んで発作が起きた事自体忘れてしまう人も居るし。
『もう、マイちゃんは女の子なのに全然キュンってしないんだから』
『………』
そんな事はないけどね。
普通に嬉しいけどそれを素直に出せないのが私なの。
それに今回の事でシンに対しての気持ちが変化してる事は間違いない。それが恋愛かどうかはまだ分からないけど。