それからどのくらい時間が経ったか分からない。

1秒?1分?それとも1時間?


まるで底なし沼にいるみたいに堕ちていく。

ぐるぐるぐるぐる反転して、酔ってしまうほど頭がふらついた。


『シンが……シンが………………』


何かにうなされているようにその言葉しか出てこない。早くシンの側に行きたいのに体が全く動かなかった。


『マイちゃんっ』

開けっ放しの扉から私を呼ぶ声。


『マイちゃんは自分の病室に戻ってて。今先生達が………』


私の肩に触れたのは中村さん。その体をとっさに強く揺らした。


『シンは?シンはどうなったの?』


あの時シンは呼吸をしていなかった。

あんなに苦しそうだったのに急に静かになって、
それで…………


『とにかく今は先生達を信じて』


中村さんの瞳に私が映る。それでも無重力のような気持ち悪さがなくならない。


『私のせいだ、私の……』

中村さんにもたれ掛かるようにボロボロと涙が溢れてきた。


クリスマス会をやろうと言ったのは私。
楽しみに胸を高鳴らせた事が発作の原因?

それともすぐに誰かを呼んでいればこんな事態にならなかった?

ずっと側に居たのに。一番近くに居たのに私は何も出来なかった。


『お願いだからっ、シンを助けて。お願いだから…………』


子供みたいに泣きじゃくる私を中村さんは抱きしめてくれた。


『大丈夫、大丈夫よ。今は病室に戻りましょう』


シン、シン、シン。

お願いだから死なないで。

なんでもするから、だからどこにも行かないで。