"最愛の恋人へ


私は医師から余命三ヶ月と宣告されてしまいました。しかし、あまりにも唐突すぎる上、体はいつも通り元気なため、ほとんど実感がないのです。
私の人生は始まったばかりだというのに、いきなりおしまいだなんて。私は日々、いつ死んでも後悔しないように過ごしたつもりでしたが、実際には明日がある前提でしか生きてきていませんでした。
あなたとは既に沢山の大事な思い出を作ったけど、これからも皺々の老人になるまであなたといるつもりだったのに。残念でなりません。
あなたはたびたび私をからかって、「僕が先に死ぬはずだよ、男の方が平均寿命が短いから。君は僕より先に死んではいけない」と言っていました。その度に私は、先立たれることの強烈なさみしさと悲しさを感じました。まさかあなたに同じ思いをさせるなんて、こんなに辛いことはありません。
もっともっと、あなたと一緒にいたかった。どうか、いつものように我儘を聞いて欲しいのです。
最期までずっと側にいて下さい。沢山お喋りをして下さい。最期を看取って下さい。そして本当に身勝手な願いですが、死後も他の人を愛さないで、私だけをずっと愛してください。
私にはこんな風に、何の気兼ねもなく全てを晒せる相手がいて、本当に幸せです。感謝してもし足りません。本当に、今までありがとう。さようなら。


ユキ"