「じゃあ、今年こそ海へ行こう」
ユキは笑いながらそう言った直後、宙に浮かんだ。数テンポ遅れて、鼓膜が破れそうな程大きな音を立てて地面に叩きつけられた。
僕は何が起こったか分からなかった。遠くに聞こえる救急車のサイレンの音に気づくと、からだはユキの元に駆け出した。うつ伏せたユキの頭の回りに、みるみる赤いみずたまりが広がっていく。
顔を見る勇気はなかった。救急車が来るまで傷口を押さえ続けていたが、まるで止まらない。病院につき、即死だったと告げられた。