俺たちはつい角に隠れた



「何あれ!?カツアゲ?」



「ナンパじゃねぇの?女帝のことだから」



角からそっと様子を見ることに



ますますストーカーっぽい(泣)



「ちょっと付き合ってくんない?いいことしてあげるからさ!」



ふむぅ…ナンパだな



神童様は無視して通りすぎようとした



「無視すんじゃねーよ!」



男が神童様の腕を掴んだ



「「……!」」



相手は一人か?



俺と荒竹でいけるか?



神童様どうか相手を刺激しないように…



「……触んな下衆が」



神童様ぁぁ――――――――――!!!!



「んだぁ!!!コルァ!!!!!」



もういくしかない!!!



「ちょ……うちの生徒に何してんですか!?」



「「「なんだてめぇ」」」



あれ…?



なんか3人もいる…



陰で見えなかったんだ…



ん?



荒竹は?



「が…頑張れよ(小声)」



あの野郎ぉぉ!!



「…み……三谷」



するといかにも…ていうかどう見ても不良な3人が襲い掛かってきた



バキイ―――



「う……!!」



「ははは!!よえーよ!!こいつ!!」



ボキ!!―――



今なんか折れなかった!?






人生初めてのリンチ



痛いです



「女の前で恰好つけてんじゃねぇよ!!」



「ぎゃははははははは!!」



いやぁ…



みぞおちってこんなに痛いんだ



母さん…父さん…



あなたたちよりも先に旅たつことをお許しください



もし僕が死んだらどうか葬式に荒竹くんだけは呼ばないでください…



「待て!!何してんだ!!」



「……!?」



し…みず?






「清水…」



神童様が嬉しそうな顔をした



「……」



まさか…ないよな?



でも俺が嫉妬したのは確かだった



「三谷くん、大丈夫?」



清水はそういい俺を立たせてくれた



「なんだぁ?て……むぎゃ!!!!」



清水の華麗な蹴りが男にクリティカルヒット☆



「やんのかぁ?おらぁ」



残りの2人が清水を襲い掛かった



ビュ!!ビュ!!




「あぎゃ!」「うが!」



瞬殺…



かっけぇぇ!!






「…清水、ありがとな」



「いいえ、女帝を守ろうとしてくれて…こちらからお礼をもうしあげます」



清水君…



君はなんて育ちがいいんだ…



「女帝を守るのが僕の生きがいですから」



笑顔で、笑顔でそう言った清水が一瞬歪んで見えた



なんで本人がいる前で堂々と言えるのか



「清水…」



神童様も笑顔になる



「三谷、あなたもありがとう。また学校でね」



そう言うと神童様はまた歩き出した



清水と並んで



「三谷ぃぃ!ぶじかぁぁ!?」



「…お前もう死ねよ」



荒竹…



やっぱ葬式にはよばねーわ






憧れと嫉妬



俺の中でぐるぐると渦をまいている



ただあなたを見ているだけで



俺は満たされていたのに



愛されたい



俺があなたに抱いた感情はそんなものではなかったのに…



あなたが俺を狂わせた



呪いをかけたんだ






愛せば愛すほど



苦しくなる






次の日



「みったにー!昨日のこと気にしてないよな…?」



「もーどうでもいいわ、荒竹なんて」



「えぇ!?」



顔には絆創膏、手にも絆創膏、お腹は包帯



「誰のせいだと思う?」



「…き、昨日の不良…?」



俺はにこっと笑った



「うん、荒竹くんだよね」



「(無理やり…)あい…ごめんなさい」



まあ、どうでもいいが



教室で荒竹と話していたら北上一穂(キタガミカズホ)が



「三谷ー、先生が三谷を探してたよー」



あぁ?



キンコンカンコン♪


『あー…生徒の呼び出しー、2年三谷淳!清水直!神童砂羽さん!至急生徒指導室に来なさい!!!!』



1人だけさん付けかよ



「昨日のことじゃね?…三谷様」



「げげ!!」






「あー…君達やっちまったねぇ」



黒いオーラで笑う佐々木冬樹(ササキフユキ)先生



「もう、相手の学校から通報があってね…」



「――待ちなさい」



「「え?」」



俺と佐々木は神童様を見た



だって急に待ちなさいだもん



「…っ…なんですか?」



「清水は置いといて三谷はやられていただけで、注意の受けようがないと思います」



「……!!」



神童様が俺をかばってる!?



「しかし…!!目をつけられるような…」



「目をつけられたのは彼ではありません。私です。三谷は私を助けようとしてくれたし、清水は三谷を助けようとしました。それもいけないのですか?見て見ぬふりをしろと?」



ペラペラ話す神童様に佐々木は何も言い返せない



女帝はやっぱ違うな…



「…っ………!!!今回は見逃す!!!!」



で、解散



俺は初めて神童様に救われた



生徒指導室を出ていく彼女がだんだんと小さくなっていった