三谷淳Side
「ねえ、今度のテストの為にみんなで勉強会しようよ」
顔の痣が無くなりかけた南世がそう提案した
「いいね、誰か世界史教えてくれ」
「任せろ、お前の偏差値を65にしてやるよ」
砂羽は嬉しそうに笑いながら言った
「じゃあ、私の部屋に来ない?私、友達を部屋に入れた事ないの。そういうのワクワクするわね」
さ、砂羽の部屋⁉︎
「異議なし!」
みんな笑った
幸せだ
こんな日々がずっと、ずっと続いてほしい
砂羽も南世もついでに荒竹も
俺の大切な人だから
みんなで笑っていけるように
南世華蓮Side
「華蓮さん、あなた荒竹くんと付き合わないの?」
砂羽ちゃんが急にそう聞いてきた
顔が赤くなる
私は荒竹くんが好きだ
告白もされた
でも三谷くんが好きだからと断ってしまった
うそではないけど荒竹くんと一緒にいると心臓が落ち着かなくなる
それが悟られるのが恥ずかしい
それだけだった
「しばらくは付き合わないつもりだよ」
そう言って視線を荒竹くんに向けた
…荒竹くん
あの時助けてくれてありがとう
あの時からずっと荒竹くんが気になってたんだよ
いつか、私から伝えるからその時まで待っていてください
「…南世ちゃん?」
三谷くんと並んで歩いていた荒竹くんが振り返る
なんでもない、そう言って笑う
もうすぐ学校に着く
荒竹くんはだるいと言って正門をくぐった
神童砂羽Side
「神童さん、おはよう」
最近クラスに馴染めてきた
みんな優しくしてくれる
「おはよう」
そういうだけで暖かい視線が感じられる
友達はまだ少ないがいつかこのクラスの人達と仲良くなりたい
気になるのは刑務所にいる函南と青森だ
あの二人はどうしているだろう
刑務所の中で私を恨んではいないかしら
…気になるけど私がこれから気にしなくてはならないのは今月の終わりにある中間テストだけだ
私は教科書を広げ授業の支度をした