神童砂羽SIDE
嫌だ…!私のせいで南世さんが…!
青森に私の声は届かない
函南は黙ってカメラを回してた
止めなきゃ、私が…止めなきゃ
怖い…怖いよ
青森がまた南世さんを殴ろうとした
私はただ目を閉じて顔をそらした
「…ごめんなさい……!」
そう、何度も彼女に言った
「南世!砂羽!大丈夫か⁈」
聞き覚えのある声に反応して目を開けると青森を殴り飛ばす淳がいた
君は一人じゃないよ
君は充分愛されているんだから
青森深夜SIDE
三谷淳…!砂羽を奪った男!
許さない!こいつだけは!殺す!殺してやる!
…!
「砂羽、どいて」
砂羽は首をふった
砂羽の手は南世の手をぎゅっと掴んでた
「…私は、処女じゃないわ」
「「「「え?」」」」
どういう事?
「私は貴方が望んだような女じゃないわ、それに貴方も私が望んだ男じゃない。気に食わないなら、私を殴りなさい!南世さんに、三谷に…直に謝ったあとに!」
え?砂羽は処女じゃない?え?え?
「誰に、汚されたの?」
砂羽は黙りだった
「嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ!砂羽は完璧な女だ!俺以外に汚されるなんて…嫌だ!嫌だぁ!」
三谷淳SIDE
青森が壊れた
俺は砂羽と南世の前に出た
俺は青森に勝てる気はしない、全く
でも俺が二人を守らないといけない
青森は鉄パイプを持って俺に襲ってきた
…いや、ヤバすぎなんだけど⁉
勝てる勝てないじゃない!生きるか死ぬかじゃん!
え、ぇえ⁉
俺は思わず目を硬く閉じた
…ここはどこだ?
俺はあの時確か死んだ気がした
あぁ、天国かぁ
砂羽も南世も無事かな…
ごめん、砂羽
ごめん、南世
サイテーな死に方しちゃって…
「三谷くん!」
「淳!」
俺、死んでいませんでした
お騒がせしてしまってごめんなさい
俺は病院のベッドで目が覚めた
ベッドの周りには、砂羽と南世と荒竹を中心とした高校の友達、俺の家族がいた
「よかった、よかったぁあ!」
涙でぐっしょりした南世が俺に抱きついてきた
「お、ちょっ、まて!」
誰か状況を教えて!
俺はなんと青森に殴られ、気を失い、三日も意識不明だったそうだ
青森と函南はというと、俺が殴られたすぐに音に気付いた教師が駆けつけ、そのまま警察に連れて行かれたそうだ
はっ、ざまぁ…じゃなくて
南世の顔にアザが残ってた
「南世…ごめんな、ありがとう」
俺は南世を抱きしめ返そうとした
「…はっ!」
砂羽がいたんだった…
チラッと砂羽をみる
「…三十秒だけ許すわ」
俺は南世を抱きしめた
私は幸せです
貴方がいてくれるから
あれから俺はめでたく退院した
今日からまた学校だ
俺の隣には砂羽がいる
「淳」
「どうしたの?砂羽」
「えっと…なんでもないわ」
「なんだよ」
笑って返す
砂羽は足を早め俺の前にいく
そして振り返り俺にこう言った
「直の次に…ううん、直と同じくらい好き!」
そう言った彼女の顔は女帝でもなく、悪魔でもない可愛らしい女子高生の笑顔だった
「俺も、好き」
直、お前に最後まで勝てなかったけど
安心してくれ
砂羽を幸せにしてみせるから