美しさなんて



呪いでしかないというのに






神童砂羽SIDE



「………でさぁ………そう!そう!」



「……なんの話をしてるの?」



「さ……砂羽様!!おはようございます!」



女の子のお喋りは私が入ると終わってしまう



なんの話だったのかしら



「砂羽様今日もおうくしゅうございます」



「神童様シャンプー変えましたか?いつもと違う香りがします」



ちやほやされるのは嫌いじゃない



だけど普通の友達みたいに話したい






……いつからこうなったんだろう



「おはようございます女帝」



「清水……おはよう」



「おはようございます」



「おはよう青森」



私は女帝となって



ずっとずっと求めてた清水直を手に入れた



だから女帝をやめられない



女帝じゃなくなったら清水も青森もいなくなってしまう



「し……神童様おはようございます…!!」



そう……女帝なんてやめられない






羨ましいか?



妬ましいか?



そんなの関係ない



選ばれたのは私



神童砂羽なのだ



「まじ調子乗ってるよねぇ」



しるか



「誰だよ女帝なんてつけたの」



黙れ



本当は私になりたいくせに



私は知っているから



私は特別だから






「神童様」



「どうした青森」



「昨日の函南は1週間の停学処分となったようです」



函南?



あぁ、あいつか



「あら、気にしてないわ」



「それは失礼しました」



私は教室に入り席に座った



私の席からは



清水が見える



変だけど



私の楽しみは清水の背中をみること



皆に怪しまれないようにいつも本を読んでいるふりをする



「神童様」



「え?」



話しかけてきたのは同じクラスの三谷だった







「あの…消しゴム落ちてましたよ?」



「え?あ…ありがとう」



皆が私に敬語で話し



誰もが私を見て顔を赤くする



「し…失礼します…っ!!」



「待ちなさい」



「…え?」



三谷は驚いた様に私を見る



「あなたの下の名前はなんだったかしら?」



実をいうとクラスの人の名字しか覚えてない



「淳…三谷淳です」



「そう…ありがと♪」



そのあと私は机に座って清水を見ていた






三谷淳SIDE


思い出せば神童様が転校してからこの学校は変わってしまった



神童様が転校してきたのは1年の秋だった



美人の転校生が来たって荒竹が盛り上がっていた



1年の時は荒竹とも同じクラスで神童様は俺たちのクラスに転校してきた



見た瞬間一目惚れした男子は数多くいた



俺もずっと気になっていた



でも俺は入学したときから好きな人がいた



「三谷くん次歴史だったよね?」



南世華蓮



入学式の時に一目惚れしたんだ



勿論そんなことは荒竹には言ってない



「あぁ、歴史だよ」



南世は俺のことなんて思ってるんだろう



でも俺は神童様も気になっていて



うーむ…



複雑だ






歴史なんて嫌いだ



過去のことばっかり引っ張ってて馬鹿馬鹿しい



人間は確かな未来を見つめ



考えればいいのだ



「……それはお前が歴史苦手なだけだろ」



「…うん」



荒竹は俺と違って歴史(社会)が得意



どのくらい得意かというと偏差値80あったりなかったり



俺は偏差値30あったりなかったり



「まあ、お前は他の教科が出来てるし問題ないだろ」



「ん…まあな」



「女帝は勉強も完璧だろうな…」



こいつと話すとすぐに神童様のことになる



「頭良さそうだもんな…」






「…!?」



俺は急に足を止めた



「どした?…うおぉ!!」



俺達が帰るために通る北門



そこから神童様が帰っているではないか!!



「こ…これは!?」



少し間を開けて荒竹は言った



「ストーキングしちゃう?」



犯罪です



「尾行する?」



同じです



「いや初めて知った!!同じ方向だったんだ!!いこいこ!!」



結局追いかけるはめに…



青森と清水に殺されませんように…