星の数ほど



喜びを感じたい






青森深夜SIDE



「失敗しただと…!?」



「あ…いえ!深夜さん!服脱がせるところまではいったんで、ダメージはかなりあると思うんですが…!!」



「…まあ、いいだろう。報酬はくれてやるよ」



「あ、ありがとうございます!」



未遂でも南世のことだ



問題ないだろう



俺は函南に電話した



「俺だ、お前が満足できるかわからないが、うまくいった」



『ありがと!青森って使えるのね』



失礼な奴だ



『あとは、復讐と実行するだけ…成功できたら神童はアンタのだから』



ああ…



あの人にまた一歩近づけた






函南真弓SIDE



アタシは復讐に使えるものを探していた



あの女を誰よりも不幸にするために



カッターとか…いいんじゃない?



直とはまだやってないはずだからあいつまだ処女よね



青森がやってくれるのを期待しよ



それをビデオカメラで撮れば



この学校にはいられないはず



「直…待っててね。全部終わったら、アタシは貴方のところへ行くから…」



涙があふれてきた



直はそんなこと望んでないのは知っている



でもいいの



直の目を覚ますためだから






神童砂羽SIDE



下駄箱を覗くと手紙が入っていた



「何かしら、これ」



「ん、どうかした?」



「気にしないで、淳。先行ってて頂戴」



「うん、なんかあったら俺になんでもいってね」



淳はそういうとすたすた歩きだした



私は手紙を開けてみた



『神童砂羽様、放課後南倉庫前にお待ちしております。』



くだらない



私は手紙を捨てようとした



「!?」



封筒には便箋だけでなく写真が入っていた



二つに敗れた淳の写真



写真の裏には赤い字でこう書かれていた



『こなきゃこいつを写真のようにする』



淳が…



私は手紙をゴミ箱のなかにくしゃくしゃにして投げつけた






字は全部ワープロで誰が書いたかわからない



きっと直のファンの仕業だろう



私は嫌われて当然のことをしてきたのだから



淳を巻き込みたくない



私一人で何とかしてみせる



廊下を歩いていると誰かにぶつかった



「おい!どこ見て歩いてんのよ!」



「あら、ごめんなさい」



「アンタなんか青森くんと清水くんがいなかったら怖くないわよ!さっさと謝んな!」



「謝ったじゃない、耳が遠いのね」



血相を変えて睨みつけてくる女が二人



私は彼女たちのことを知らない



でも私は知られている



なんか…変な感じ



「待ちなさいよ!」



「私、怒鳴られるの嫌いなんだけど」



振り返りながら言うと二人はビクッとして何も言わなくなった






あの二人も容疑者に入るだろう



いや、この学校の全ての生徒が怪しい



私は嫌われ者だから仕方がない



教室に着くと淳がこっちを心配そうに見てくれる



それが何より嬉しくて



私はまだ生きていく価値があるのかもしれないと彼は思わせてくれる



そう、借金返済のために親に売り飛ばされた私に



自分のためだけに人を苦しめた私に



愛する存在を失ってしまった私に



希望をくれた



今度は私が彼を幸せにしなくちゃ



それが今の夢なのかもしれない






「今日は先に帰ってちょうだい」



「なんかあったの?」



「急用ができたの、気にしないで」



授業も終わりついに放課後になってしまった



階段を下りるたび鼓動が速くなる



私を嫌う人がいる



とても悲しくなる



でもいい



私を愛してくれる人がいてくれるから



どんなに人に嫌われても



あなたは私を好きでいてくれるのよね



倉庫が見えてきた



そこには誰もいない



私は倉庫の前で待つことにした






不意に後ろから抱きしめられた



「…!!」



「来てくれてありがとう、砂羽」



「青森…?」



謹慎中じゃ…



「俺…砂羽が好きで好きでしょうがないんだ。こんなことして呼び出してごめんね」



私を抱きしめる腕に力が入る



「俺より砂羽を愛している奴はいないんじゃないかな?清水も三谷も砂羽の美貌しか見てないよ」



「二人の悪口は言うな」



「俺…砂羽のためなら何でもしたんだよ」



その後信じられない言葉が聞こえた



「砂羽を手に入れるために俺は清水を殺したんだから」






「…え?」



頭の中に直の顔が浮かんだ



笑っている顔



私のために暴力をふるっていた時の怖い顔



優しい…彼の横顔



「まだあいつが好きなの?あんな亡霊になんの価値があるんだよ」



青森は私を抱きかかえ倉庫に入ってった



なんとなく嫌な予感がした



「いや…!」



「なに?処女を奪われるのは嫌?それとも清水以外の男とはやりたくないの?」



心がズキッと痛んだ



青森は知らないんだ



私は汚れた女って