三谷淳SIDE
「姉ちゃん、あの…えっと、女の子ってどーゆー所が好きなの?」
「デート?」
ぐ…
「モテるねぇ、南世ちゃん?」
「ちげーよ」
俺は神童様との初デートの場所を彩夏に聞くことにした
彩夏は鞄に手をつっこんで2枚の紙を取り出した
「これ、いけなくなったからあげる。プラネタリウム、女の子好きでしょ」
おぉ…
スターじゃん
「姉ちゃん、さんきゅー」
「そこのお土産屋さんのキーホルダー買ってきといてね」
…それが目的か
俺は早速メールを送った
すぐ返事は来ていて『わかった』とだけ書かれていた
荒竹真琴SIDE
今日も一人で登校か…
なんか寂しいな
まあ俺は三谷だけが友達じゃないからたくさん友達はいるし
成績は学年1位だからまあまあモテる
だけど三谷がいないと何かが狂う
なんか…寂しいんだ
「荒竹、ここ解いてくれ」
「へい」
「はい、な」
「はい」
くそ簡単な問題を解かさせる時間はもったいない
その時間の合間にどんどんあいつは変わっていくんだ
俺の知らない三谷へと
「…さすがだな」
こいつは俺が解けなさそうな問題を出したつもりらしい
俺も馬鹿にされたもんだ
授業なんて受けるつもりはない
終わるまで俺は何もない殺風景な空を見ていた
全ての授業が終わり帰ろうと教室を出た
おっと、三谷とは帰んないんだった
G組に行きそうになって足を止めた
「…荒竹くん?」
「あ…」
南世ちゃんだ
「今から帰るの?」
「ああ、南世ちゃんも?」
「うん」
「理由はないけど…一緒に帰る?」
南世ちゃんは少し戸惑っていたが頷いた
本当に理由はない
ちょっと言ってみただけなんだけどあっさりOKがもらえた
二人で下駄箱に向かった
「そっか、荒竹くんいつも三谷くんと帰ってたもんね」
寂しいんだ、と南世ちゃんは同情してくれた
寂しいのは南世ちゃんなんでしょ?
そう言ってやりたかった
「俺さ三谷と小学生の時から友達だから急にいなくなると…なんていうか……変な感じ」
「そう…なんかごめんね」
「ん?ぜんぜん落ち込んでないよ」
…あれ?
「工事している…」
いつも帰っている道にセメントを塗りなおしている人がいた
「遠回り、しよっか」
「うん」
なんか…付き合ってるみたいだな
悪い気はしないけど
周りから見たら俺達恋人に見られてんのかな
「私さ、この道から帰るの苦手なんだよ」
南世ちゃんは普通にかわいいし
「ああ、ここらへん人住んでないもんな」
俺の肩ぐらいしか身長ないし
守ってあげたい…
「ま、オバケとか出てきても俺が南世ちゃんを守るよ」
南世ちゃんはくすっと笑った
幸せってこういうのなんだろうな
…いつ壊れてしまうかわからないものが
誰も住んでいない建物ばかりでここはよく悪い奴らのたまり場らしかった
麻薬の売買、カツアゲなどが行われていたりする
まあ、まだ暗くないし巻き込まれはしないだろうけど
「おい、そこのカップル」
…巻き込まれちった
ガラの悪そうなのが3人
頭悪そうだな
急に建物から出てきてからまれた
待ち伏せしてたのか
「無視すんじゃねーよ!」
男の1人が南世ちゃんの腕をつかんだ
「…!?…おい!彼女に手を出すな!」
なんなんだ…?
「俺らはこの女に用があって来たんだ。なあ、華蓮ちゃん?」
「な…なんで私の名前……」
南世ちゃんのことを知っている…
「どうやらビンゴだぜ」
「本物は思ってたのよりちっこくてかわいいじゃねーか」
……ヤバくねーかこれ
俺は後ろから押さえつけられた
「な…!!はなせよ!!」
「それはできねーな。助けを呼ばれちまう」
…馬鹿のくせに気が利くじゃねえか
「まあ見てろよ」
2人の男が南世ちゃんを誰もいない家に押し入れた
「いやぁ!!やめてぇ!!」
「やめろよ!!痛がってんじゃねぇか!!」
押さえつけられた俺は何もできない
見ることと喚くことしか
南世ちゃんが泣いている
助けなきゃ
俺には何もできない
「…あぁ…ぁ…」
南世ちゃんが床に押さえつけられた
「南世ちゃん!!」
何も……できない
このままじゃ…
男が南世ちゃんに跨った
「ひぃ……!!いやあぁぁぁぁあぁぁ!!」
ボタンが荒々しく外れる音がした
「おぉ…やば…」
「さっさとブラもはずそーぜ」
ここは一か八か…
南世ちゃんは俺が守る
「あ!あんな所に仙道真子ちゃん(超人気アイドル)が!!」
「「「え?」」」
奴らは全員窓の外を見た
やった!隙ができた!
俺は俺を押さえつけていた男の足を踏みつけた
「いてーーーーーーーーー!!!!」
そのまま南世ちゃんを押さえつけていた男のみぞおちを蹴っといた
「南世ちゃん!逃げるぞ!」
あ……
下着見ちゃった