「はい、嬉しいです!どこ行くんですか?」



「…あなたが決めて」



ありゃ?



ノープラン?



「…わかりました」



初デートだ



わくわくする!!



でもどーしよ…



女の子連れて行くのにゲーセンはだめかな



しかも神童様だし



んー…



「どこ行くか決めたらメールしますね」



神童様は何も言わず頷いた






神童砂羽SIDE



この悲しみを打ち消せたらどんなに楽なんだろう



孤独を感じたくない



だからあなたといるの



だから1日付き合ってもらうの



それくらいなら直も許してくれるよね?



大丈夫



私が愛しているのは直だけなんだから…






青森深夜SIDE



俺は今まで欲しいものは全て手に入れていた



親の財力と俺のこの美貌のおかげで



なのに…あの女は落ちてくれない



こんなの初めてだった



どうしても欲しい



あの美しすぎる女を



自分の手で壊れるところが見たい



「深夜様、函南という女が訪ねてきてますが」



函南…あいつか



「…通せ」



「かしこまりました」



俺の部屋に函南が入ってきた



「ずいぶん偉いのね」



「青森グループ会長の一人息子だからな」



「へぇ、跡取りねぇ。そんな偉い人があんなことしていいのかしら」



…あんなこと?



「なんのことだ」



「とぼけないでよ、あなたが直を殺したんでしょ?」






「探偵やとったの」



函南は鞄から写真を取り出した



「これが直をひき殺した男、こっちがあんたでしょ」



それは俺が男に金を渡している写真だった



「金持ちはいいわね、人に頼めるんだから。言い逃れはできないわよ。その男に確認をとったから」



「は?お前なんかに教えたのか?」



金で黙らせる約束だったはずだが…



「!?……お前まさか…!!」



函南は顔を伏せた



「…そうよ。体、売ったの」



「なんでそこまで…」



「直が、好きだったからよ」



この女…狂っている



亡霊に取りつかれているのか?



すでに死んだ男を追いかけているなんて…






「で、お前は何がしたいんだ」



「あなたに協力してもらおうと思ってね」



協力?



「あ、あなたはまだ知らなかったっけ?」



函南はにやにやしながら俺に近づき耳元で言った



「神童は今三谷と付き合ってんのよ」



…え?



「三谷……淳…か?」



なんで…あいつが…



「そう、あなたがいない間にね」



「…ふ……ふざけんな」



俺は彼女のためなら



彼女が手に入るためなら



なんでもしてきたんだぞ



「真実よ」



そんな…



なんのために清水を殺したんだよ…






「あなたは二人の仲を引き裂く協力をしてくれればいいの」



答えは決まっている



「するに決まってんだろ」



函南は笑顔になった



「でも、すぐってわけにもいかないのよ」



「なにかあったのか」



「南世華蓮って知ってる?」



南世…



「同じクラスだ」



「あの子も誘ったんだけど断られちゃって…誰かにちくる前に黙らせてほしいの」



なにやってんだ…



まあ、そう難しくないだろ



「お安い御用だ」



気の弱い女は簡単に神経をいかれさせられる



「何人かにあたってみる」



「あら、使えるのね」






人を壊すほど簡単な事はない



壊れたものを治すほど面倒な事はない






三谷淳SIDE



「姉ちゃん、あの…えっと、女の子ってどーゆー所が好きなの?」



「デート?」



ぐ…



「モテるねぇ、南世ちゃん?」



「ちげーよ」



俺は神童様との初デートの場所を彩夏に聞くことにした



彩夏は鞄に手をつっこんで2枚の紙を取り出した



「これ、いけなくなったからあげる。プラネタリウム、女の子好きでしょ」



おぉ…



スターじゃん



「姉ちゃん、さんきゅー」



「そこのお土産屋さんのキーホルダー買ってきといてね」



…それが目的か



俺は早速メールを送った



すぐ返事は来ていて『わかった』とだけ書かれていた










荒竹真琴SIDE



今日も一人で登校か…



なんか寂しいな



まあ俺は三谷だけが友達じゃないからたくさん友達はいるし



成績は学年1位だからまあまあモテる



だけど三谷がいないと何かが狂う



なんか…寂しいんだ