最後の夜。

テレビもつけずに、あたし達はソファに並んで座ってた。

「なんか・・・あっという間だったな」
「そうだね」
「満奈は卒業したら実家か?」
「うん。隼斗は?」
「俺も実家かな。1人暮らししたいけど・・・」

そうか・・・。

卒業したら、2人でいる時間は少なくなる。

今の10分の1ぐらいになるだろうな。

今までたくさん愛し合ったせいか、明日からの生活が想像できない。

隼斗がいないなんて・・・。

「何泣いてんだよ」
「へっ!?」

隼斗に指摘され、あたしは頬に手をやった。

あたし、泣いてる・・・。

気がつかなかった。

でも・・・でも・・・。

やっぱり寂しいよ・・・。

「は・・・やとぉ・・・」

彼に抱きついた。

安心するこの匂い。

隼斗はあたしの頭を優しく撫でてくれる。

「別に別れるわけじゃないし、な?」

うん・・・。

「ちょっと会えなくなるだけだ。それに・・・」

顔を見合わせて、隼斗は言った。





「距離は離れてても、心は離れてないだろ?」





その言葉はゆっくりと、心に染みこんだ。

そう・・・だよね。

「あたし、隼斗が好き」
「俺も満奈が好きだよ」

互いの想いを確かめ合い、唇を重ねた。

会いたくなったら、飛んでいくからね!