ってか、何か違う。

表紙があの妖艶な表情したのじゃなくて、向日葵畑での別の写真だった。

「これ、バレンタインの」
「サンキュー。・・・けどこれ・・・」

何で?

「それ、あたし用なの」
「はぁっ!?」
「世界に1つしかないの。本屋で売られてるモノにプラスして、未公開の写真とかオフカットとか全部載ってるあたし用の写真集」

へぇー、すげぇな・・・。

ページをめくると確かに、何度も見た写真と写真の間に、見慣れないのもかなりあった。

"sweet"だけでこんなにあるんだから、"bitter"の方は・・・。

想像しただけでなんか欲情してきた。

「とりあえずあとで見るな。ありがとう」

満奈を引き寄せ、キスした。

あっ、そう言えば今日初めてのキスだ・・・。

「風呂入るか?」

そう聞きながら、満奈を起こす。

今日の移動は全部お姫様抱っこかな・・・。

なんて考えていたら、

「ヤダ・・・。シたい」

意外すぎる答えが返って来た。

・・・俺の空耳?

都合のいいように解釈した?

「満奈さん・・・今何と?」
「シたい」

空耳ではなかった。

「風呂は?」
「明日入る」
「疲れてるんだろ?」
「うん。でもシたい」

我が儘な姫様だ。

疲れてるのにシたいとか・・・どんだけ俺が好きなんだよ。

「隼斗が欲しいの!」

満奈はあの―――。

向日葵畑で見せた、あの笑顔でそう言った。

「ったく、可愛すぎんだよ」

チュッと額にキスし、抱っこする。

やっぱり生の満奈が1番いい。