綺麗、なんて言葉じゃ表せないぐらい。
真っ赤に燃えていた。
初めて見た・・・。
「喜んでいただけたでしょうか?満奈様」
隼斗が執事風に聞いてくる。
「うん!ありがとう、隼斗」
あたしは思わず、彼に抱きついた。
隼斗が見せてくれた景色は。
今までで1番眩しくて。
今までで1番綺麗で。
今までで1番記憶に残った。
「ここ、小さい頃から家族でよく来てた。おれの祖父さんが見つけた穴場だってさ」
そうなんだぁ・・・。
神秘的だな。
「満奈にも見せたくてさ。やっと来れたな」
顔を見合わせて笑う。
嬉しい。
こうやって連れて来てくれた事はもちろん嬉しいよ。
また、前を見た。
・・・でもね、それ以上に。
家族との大切な思い出の穴場に、あたしと一緒に来たって事が物凄く嬉しかった。
海は真っ赤に燃えているのに、波は穏やかだった。
「なぁ、満奈」
そんな感情に浸っていた時。
隼斗があたしに話しかけた。
横を向き、隼斗と視線を合わせる。
すると隼斗は微笑んで、
「毎年、ここ来ような」
そう、言ってくれたんだ。
「・・・うんっ!」
未来の約束が嬉しくて。
隼斗に抱き着いて、キスした。
ずっとずっと、一緒に・・・ね。
朝日に照らされたあたし達。
隼斗の顔は、オレンジ色のせいで余計にカッコよく見えた。