「ごめんっ、お待たせ~」

タイミング良く、満奈がこちらに向かって来た。

「話してたら長くなっちゃった!」

そう笑顔で言う満奈。

そんな彼女を、

―――グイッ

引き寄せた。

「コイツの方が、よっぽど人気あるぜ」
「へっ!?」

後ろから抱き締め、湊に向かって言った。

しかし、返事をしたのは満奈だった。

「じゃあ、俺ら帰るわ」

指を絡め、手を繋ぐ。

クルッと湊に背を向けた。

頭上にハテナを浮かべた満奈と並んで歩きだした。

すると、

「隼斗っ!」

後ろから、ヤツの声。

俺は足だけを止めた。

「俺、絶対超えるから!」

その言葉が、何故か嬉しかった。

ムカつく奴なのに。

憎たらしい奴なのに。

思わず、笑みが零れた。

振り向かずに、手だけを振った。





空には、たくさんの星が輝いていた。

もう、冬か・・・。

「なぁ、満奈」
「ん?」

静かな住宅街を歩く俺ら。

人は誰もいない。

街灯と星の灯りが、2人を照らしていた。





「俺らもいつか、式挙げような」





満奈は、最高に可愛い笑顔で笑った。

やっぱり満奈最高。

マジで愛してる。

この日満奈と交わした約束。

それは、近い将来の約束だった。