「でも・・・」

しゃくり上げながら、でも話そうとする華園。

俺の右手と満奈の左手はまだ繋がれている。

華園はそれを見つめていった。

「距離があっても、心は繋がっている・・・」

その言葉はきっと、俺らの事を指している。

奴は泣きながら、笑った。

「どんな時でも愛し合っている、2人が羨ましい」

真っ直ぐに、満奈の目を見ていった。

すると、

「邪魔して・・・ごめんなさい」

華園は頭を下げた。

「隼斗先輩への想いは、過去形にします」

そして、こう言った。

甘ったるい声じゃなく、真剣なトーンで。

「先輩、好きでした」

今までで一番大きな涙の粒を零した華園。

それでも華園は、笑っていた。

「明日には自分の部屋に帰ります」

ホッとした。

これで・・・やっと、満奈とラブラブできるんだ。

胸を撫で下ろした。





香水臭い匂いが消えて。

代わりに、大好きな彼女の香りが鼻をくすぐる。

再び始まる、満奈との生活。

今まで散々傷つけて、ホントにごめんな?

・・・でも。

これからは大事に、お前を守ってやる。

桜井満奈を、愛し抜く。

「世界一愛してる」

隣の彼女にそっと囁き、

―――チュッ

さくらんぼ色の小さな唇を奪った。