麻友には随分とお世話になった。

もう少し一緒にいて、恩返ししたいけど・・・。

あたしにはやるべき事がある。

「ありがとう」

あたしも笑った。

「これからもずっと友達だよ」

そう言って麻友は、右手を差し出した。

視界が揺れる。

その言葉が、何よりも嬉しかった。

「辛かったり悲しかったりした時、私でよかったらメールしてね」

涙が零れた。

いい人だね。

この時、“この学園に来て良かった”と初めて思った。

麻友に出会えて、ホントに良かった。

「うん。あたし達はずっと親友だよ」
「あったり前!」

泣きながら、あたしは麻友の右手を握った。

ずっとずっと、親友だよ。

一緒にいた期間は短いけど。

麻友はあたしの親友。





退学届を出し、あたしは朝比奈学園を去った。

「バイバイっ!」
「満奈ちゃぁ~ん・・・」
「元気でね~!」

既に全校に知れ渡ったのか、たくさんの生徒があたしを見送ってくれた。

「桜井~っ!俺は悲しいぞ~っ!」

Rainbowファンで華歩ラブの、体育会系先生が泣いていた。

迫力がハンパない・・・。

「満奈、またねっ!」

麻友も見送ってくれた。

約4ヶ月間、退屈で仕方なかったはずなのに。

今となっては、離れる事が悲しく思えてしまう。

・・・でも。

あたしには、帰るべき場所がある。

さよなら、朝比奈学園。

みんなに手を振り、あたしは帰った。