雅也の顔から笑みが消えた。
「それ・・・どういう事?」
その瞳に、背筋がゾッとした。
―――怖い。
「あたしは隼斗が好きなんです。ホントにごめんなさい」
隼斗のあたしを抱き締めてた腕を解き、雅也に頭を下げた。
あたし、どう頑張っても雅也を愛する事は出来ない。
だってもう、最高の男に出会ってしまったから。
“流川隼斗”と言う名の男に―――。
「俺からもお願いします。俺も、本気でコイツを愛してるんです」
隣の隼斗も、頭を下げた。
いろいろ迷惑かけてるって分かってるよ。
でも・・・ごめんなさい。
雅也じゃ、ダメなの。
「ちぇっ。せっかく仁菜を殺したのにな」
小さな、そんな声が聞こえた。
思わず頭を上げた。
その言葉にあたしは・・・耳を疑わざるを得なかった。
だって今・・・何て言った?
“仁菜”って・・・言った。
“殺した”って・・・言った。
足が、手が、唇が。
ガタガタと震えた。