「隼斗と満奈は超ラブラブだったわぁ~」

羨ましそうな顔をする姉貴。

そ、そうだったのか・・・。

俺がラブラブ・・・ねぇ。

考えられねぇな。

想像しただけでゾッとする。

「まぁ、なんだかんだでずっと付き合ってきた」

“なんだかんだ”って何だよ・・・。

かなりはしょったな。

「そして・・・」

兄貴は気まずそうに、

「桜井仁菜、って知ってるか?」

そう聞いて来た。

「知ってる。Cherry Iの次期社長の子だろ?」

ん?

桜井・・・?

Cherry I?

まさか・・・。

満奈と仁菜。

2人は姉妹・・・?

「仁菜ちゃんが殺されてな」

あっ・・・。

それって・・・もしかして。

「俺と同じ方法で、だよな?」
「あぁ」

これで分かった。

あの時に考えた“誰か”。

あれは、満奈の事だったんだ。

「満奈ちゃんが代わりにCherry Iを継ぐことになったんだ」

そこでピーンと来た。

「だから、如月から朝比奈に転校した」
「その通り」

あぁ・・・だからか。

あそこは金持ち学校だからな。

おまけに経済学に強いし。

ちなみに兄貴も、将来母さんの会者継ぐから朝比奈出身。

姉貴は如月だけど。

「そして・・・」

ごくりと唾を飲んだ兄貴。

声のトーンが急に変った。

俺は兄貴を見つめた。

「満奈ちゃんは芸能界を引退した」