「満奈は元々如月生なの。だけど・・・」
言葉を濁らせた姉貴。
「何だよ。はっきり言えよ」
その様子に、少しだけイラッとした。
俺は早く真実を知りたいのに―――。
「ある事情で、転校したのよ」
ある事情?
「その事情って何だよ?」
頼むから・・・隠さないで教えてくれよ。
「満奈ちゃんがCherry I社長の娘だって事は知ってるな?」
「あぁ」
それが関係してるのか?
「早く教えろよ」
早く知りたいのに。
兄貴はそれを焦らすかのように、1度深呼吸をした。
そして・・・全てを話してくれた。
「お前と満奈ちゃんは如月高校に入学し、寮のルームメイトになった」
それで、俺と満奈が出会ったのか。
・・・まったく出てこない。
俺が覚えてない、俺の過去。
「その時の満奈ちゃんはまだ、Rainbow芸能事務所の研究生だったらしい。Rainbowとしてデビューしたのはそれから約1ヶ月後の、5月16日」
5月16日・・・。
それって俺の誕生日じゃん。
「それから2人は7月クール月9ドラマで共演」
ドラマ・・・?
1年の時、7月クール、月9。
あぁ、確かにあった。
でも・・・その時に満奈っていたっけ・・・?
「2人が付き合う事になったのは、その頃の隼斗と水沢玲愛のスキャンダル報道よ」
姉貴が言った。
そう言えば・・・そんな事あったな。
しかし。
それがきっかけで付き合う事になったなんて、当然分からない。
知らない事ばかりの俺の忘れた記憶。