・・・思わず、泣きそうになった。
隼斗だ・・・。
泣きそうになった理由は2つ。
1つは、久々に隼斗の顔を見た事。
もう1つは、痛々しい包帯が彼の頭に巻いてあったこと。
「隼斗。・・・満奈ちゃんよ」
ベットに横たわる隼斗の手を、千歳さんが握っていた。
眠っている彼に話しかけている。
震えている声で・・・。
「隼斗、ずっと会いたいって言ってたよね」
えっ・・・!?
千歳さんのその言葉に、耳を疑った。
隼斗が?
あたしに・・・会いたがってたの?
嘘・・・。
だって、隼斗は・・・、
“隼斗先輩はもう私のモノなんですから”
萌香ちゃんと付き合ってるんだと思ってたから。
ねぇ、隼斗。
千歳さんが言ってた事がもしホントなら。
あたしは・・・凄く嬉しいよ。
隼斗はまだ、あたしの事想っててくれる?
「何か言いなさいよっ・・・」
千歳さんがそう声をかけても、返事は帰って来なかった。
目を閉じたままの隼斗。
息を飲むくらい綺麗だった。
ホントに生きてるの?って思ってしまうくらい・・・。
たくさんの機械に囲まれてる隼斗・・・。
正直、目をそらしたい。
愛する人の、こんな姿・・・。
だけどあたしは、ちゃんと真っ直ぐに見つめた。
・・・ごめんね、隼斗。
あたしから振ったくせに。
全然諦めきれないよ。
むしろ、好きなんだよ。
そっと、隼斗の手に触れた。
久々に触れた、彼の手。
冷たかった。