(side満奈)

「満奈・・・」

誰かがあたしを呼んでる・・・。

「満奈、満奈っ・・・」

ねぇ、貴方は誰?

声が聞こえても、姿は見えない。

「ずっと一緒だよ・・・」

多分、男性の声。

でも・・・誰なの?

ちっとも分からないよ―――。





ゆっくりと目を開けた。

・・・あれ?

今のは、夢・・・?

「ま、な・・・?」

視線を右に移せば、そこにはお母さんがいた。

泣いてる・・・。

その後ろには、お父さんと千歳さんもいた。

ってか、ここどこ?

あたし、どうしたんだっけ?

今までの記憶を必死に探った。

確か、千歳さんと会社の事でお話して・・・。

その後、隼斗の話になったんだよね?

それであたし・・・。

・・・あっ!

目眩がしたと思ったら―――。

倒れたんだ・・・。

とにかく、胃が痛くて仕方なくて・・・。

「満奈っ!満奈っ!」

じゃあ、あたしは今・・・病院にいるのかな?

鼻につく消毒の匂い。

やっぱり病院か。

「・・・医者呼んでくる!」

お父さんはそう言って、部屋を出ていった。

お母さんはずっと、あたしの名を呼んでる。

千歳さんは微笑みながら、

「よかったですね」

と、お母さんに言っていた。