好きだよ。

だけど、言えない。

このもどかしくて儚い言葉を、どう千歳さんに伝えたらいい?

あたしは隼斗を愛してるよ。

でも、隼斗はもう萌香ちゃんのモノ。

だったらあたしは―――。

諦めなきゃいけない、よね・・・。

忘れなきゃいけないよね・・・。

ねぇ、あたしはどうすればいいの?





「いい、え・・・」





気がつけばあたしは、こう言っていた。

千歳さんはびっくりしてた。

でも、1番驚いてるのは自分だった。

嘘だよ。

本心じゃない。

今だって・・・ほら。

全身が“隼斗が好き”って叫んでるもん。

なのに、あたしってば・・・。

「・・・っう・・・」

思わず泣いてしまった。

ヤダ・・・。

ここで泣いたら千歳さんに迷惑かけるし、なんで泣いてるかとか察しられちゃうよ。

そうは思ってても、涙を止める事は不可能だった。

胃が痛いよ・・・。

千歳さんは何も言わなかった。





その時だった。

―――フラッ

急に目眩がした。

かと思ったら、

―――バタンッ

あたしは床に倒れ込んでしまった・・・。

痛い・・・。

痛い・・・。

「満奈ちゃん!?」

千歳さんの声が、凄く遠くに聞こえた。

ごめんなさい・・・。

結局、迷惑かけちゃいましたね。

隼斗・・・。

会いたいよ。

あたしの意識は、そこで途絶えた―――。