「さて・・・と。こんなところね」

それから1時間半後。

ようやく話し合いが終わった。

「ありがとうございました」

やっぱり千歳さんは凄い。

さすが日本有数の大財閥の社長。

仕事量がハンパじゃないし、あんなに分厚い資料に毎日目を通すのは凄い大変だと思う。

それを1人でやって見せるとは・・・。

別世界のように感じた。

秘書さんが、あたしと千歳さんの分のコーヒーを出してくれた。

「ところでさ、満奈ちゃん」
「はい。何ですか?」

コーヒーを飲みながら、千歳さんはあたしに話しかけて来た。

何だろう?

仕事の事かな?

そう、単純に思ってた。

・・・だからこそ、





「隼斗の事は・・・まだ好きなの?」





何かが大きく圧し掛かったような気がした。

―――ドクンッ

―――ドクンッ

胸が痛い。

痛いよ・・・。

苦しい。

想えば想うほど・・・辛くなる。

切なくなる。

何も答えられない。

“はい。大好きです”

そう答えられたら、凄く楽なのに。

だけど―――。





“隼斗先輩はもう私のモノなんですから”





さっきの萌香ちゃんの言葉が、脳内を何度も駆け巡った。