あたしの言葉を聞くと、萌香ちゃんは、
「よかったぁ~♪」
般若のような顔は嘘かのように、にっこり笑顔を見せた。
嫌みですか?って言うくらいの、満面の笑みだった。
「隼斗先輩はもう“私のモノ”なんですから。邪魔しないでくださいね?」
“私のモノ”をやたら強調していった萌香ちゃん。
・・・苦しい。
胸が苦しいよ・・・。
呼吸さえ難しく感じてしまう。
隼斗。
隼斗。
助けてよ。
胃がまた、キリキリと痛む。
痛い。
苦しい。
切ない。
悲しい。
好き。
いくつもの感情が、あたしの中で溢れだす。
「それじゃあ、もう会わないよう願ってるわ」
そう言い残し、萌香ちゃんは公園を去っていった。
1人の公園は、酷いくらいに孤独に感じさせてしまう。
「・・・っ・・・」
声を殺して泣いた。
嘘だよ。
“嫌いだよ”
隼斗を嫌いになれるわけないじゃん・・・。
萌香ちゃんの勝ち誇ったような笑みが、脳裏をよぎる。
・・・悔しいけど。
あたしなんかより萌香ちゃんの方が、よっぽど隼斗にお似合いだよ。
「隼斗っ・・・好きだよ・・・」
しゃがみ込んで、泣いた。
忘れたい。
・・・忘れられない。