(side玲央)

満奈を笑顔にしてやれるのは。

満奈を幸せにしてやれるのは。

―――流川隼斗。

悔しいけど。

お前しかいないんだよ・・・っ!





そう思ってた俺が馬鹿だった。

“今でも愛してる”

だったら何で満奈を手放したんだよ・・・。

“これは、アイツが決めた事だから”

ふざけんな。

“満奈が決めた事”。

だから何だよ?

好きなら・・・手放すなよ。

一生傍に置いて、満奈を愛せよ。

“嫌だ”

“俺は満奈とずっと一緒にいたい”

そう言えばいいのに。

俺は“流川なら”って、身を引いたのに・・・。

これじゃあ、俺の想いまで可哀想じゃねぇかよ。

婚約者がいるから何だよ?

じゃあ満奈の気持ちは?

流川は・・・そう言うの考えた事あるのかよ?

強がってるくせに。

俺から逃げたくせに。

偉そうにしてんじゃねぇよ。

自分だけが悲劇のヒーローぶんなよ。

もう少し・・・満奈の気持ちも考えてやれよっ!

「アイツ、ホントに馬鹿だな・・・」

4人がけの席に1人で座ってる俺。

テーブルには飲みかけのコーラが置いてある。

そんなコーラに向かって、俺はそう呟いた。