「この前会った時の満奈は、我慢してる顔してた・・・。ちっとも幸せそうじゃなかった」

思い出すように話す奴。

少しだけ、涙声になっていた。

目も潤んでいる。

それは・・・満奈の事を想っての涙なのか?

「俺は、お前だからと思って満奈を任せたのに・・・何でだよっ!」

相葉・・・。

今初めて、コイツはいい奴なんだと気付いたよ。

ありがとな・・・。

こんなにも、満奈と俺の事を想ってくれて。

・・・でも。

「悪い。俺用事あるから行くわ」

俺は逃げた。

相葉の、真っ直ぐすぎる言葉から。

相葉の、真剣な瞳から。

そして・・・現実から。

“別れよう”

あの辛い言葉から。

目をそらした俺は・・・最高にカッコ悪い。





金を払ってファミレスを出た。

相葉は、追いかけてこようとはしなかった。

帽子を深めにかぶり、ブラブラと歩き始めた。

・・・こんな時。

隣に満奈がいたら・・・凄く幸せなんだろうな。

俺は弱虫だ。

馬鹿野郎だ。

好きな女1人すら、幸せにしてやれない。

情けねぇ・・・。

「はぁ・・・」

ため息が零れる。

満奈・・・。

好きだ。

愛してる。

―――だけど。

どんなに想ってても、叶う事はない・・・。