満奈が好きで仕方ない。

愛して、愛されたかった。

だけど、例え俺が“嫌だ”って言ってたとしても。

アイツは“やっぱり・・・”なんて言わない。

それは、自分の決心が揺らぐから。

家族のために、芸能界を辞めた。

決められた奴と結婚するために、俺と別れた。

そうだよな・・・、満奈。

「そうか・・・」

相葉は一瞬だけ笑った。

そして、俺を見る。

「お前、そんなに弱い男だったのかよ」

軽蔑するかのような。

嘲笑うかのような。

そんな瞳で、俺を見る相葉。

「アイツが決めたから?・・・馬鹿じゃねぇの」

俺の事を鼻で笑った。

―――イラッ

すげぇムカつく。

イライラする。

相葉は1度、大きく深呼吸をした。





「愛してんなら、例え婚約者がいようが何しようが世界の果てまで追いかけろよっ!」





そんな言葉が、俺に降りかかってきた。

心が、空っぽになったような気がした。

言い返す気力さえ失ってしまった。

「俺、お前に言ったよな?“アイツを幸せにしてくれ”って」

そう言えば、そんな事言われた。

あれは確か、高2の春。

相葉が転校してきた時だ。

「お前はその時、“当たり前だ”って言った。なのに・・・」

拳をブルブルと震わせている相葉。

俺はただ黙って、相葉の次の言葉を待った。