俺はただ黙って、相葉を見つめた。

やっぱりな。

「流川は知ってるのか?満奈がCherry Iの次期社長だって事」
「あぁ、知ってる」
「どこで知った?」
「母さんから聞いた。俺の母さん、如月財閥の社長だから」

そう言って、運ばれてきたコーラに口をつける。

冷たくて気持ちいい。

「この前・・・アイツに会ったんだ。赤いドレスを着て、どっかに出かけようとしてた」

どこか寂しげで、どこか悲しそうな顔を見せる相葉。

赤い・・・ドレス?

その単語が引っかかった。

「なぁ。そのドレス、どんなやつだった?」

俺がそう聞くと、

「えっと、ベアトップとか言うやつだったけど・・・それが?」

相葉は不思議そうにそう答えた。

・・・間違いない。

満奈がその時来ていたドレスは・・・。

俺らが高2の時、クリスマスに満奈にプレゼントしたモノだ。

「・・・つーか、そんな事よりも」

相葉は話をそこで終わらせた。

そして、





「お前は満奈の事、どう思ってる?」





単刀直入に、そう聞いて来た。

“どう思ってる”って・・・。

んなの、決まってる。

答えはひとつ。





「今でも愛してる」





俺は相葉の目を真っ直ぐに見つめ、そう言った。