俺は急いでスタジオの入り口に向かった。
外に出て、キョロキョロと辺りを見回す。
すると、
「流川っ!」
聞き覚えのある声がした。
声の方を振り向くと、そこには、
「・・・久しぶりだな」
相葉がいた。
「そうですね」
俺は一応、猫かぶりで対応する。
理由は、周りに人がたくさんいるから。
「何の用ですか?」
「話があるんだ」
俺が聞くと、相葉は・・・真剣な表情でそう言った。
その顔に、
―――ドキッ
一瞬だけ、胸が苦しくなった。
・・・満奈の事、か・・・?
コイツがこんな表情するって言ったら、満奈絡みの事だろうな。
・・・実際、そんなに仲良くないんだけど。
「いいですよ。ここじゃ人目につくので、移動しましょう」
俺は変装用の帽子と眼鏡を着用し、相葉と並んで歩いた。
それから15分後。
俺らは、スタジオから少し離れたファミレスにいた。
同じ所に住んでるんだから、寮で話せばいいんだろうけど。
華園がいるし、相葉の部屋には未巳華がいるし。
誰にも邪魔されずに、コイツと向き合いたい。
そう考えた俺は、コイツとファミレスに来た。
「で、話って何?」
声を少し抑え、いつもの口調で話す。
すると相葉は、やっぱり真剣な顔で、
「満奈の事だ」
・・・そう言った。