(side隼斗)

「はぁ・・・」

ため息が止まらない。

原因は2つある。

1つは、華園萌香の事。

2つ目は、満奈の事―――。





「じゃあ、プリント配れー」

夏休みが明けた。

今日は久々に学校に来ている俺。

だけど、猛暑はまだまだ続いている。

暑い・・・。

下敷きで仰ぎながら、窓の外を眺めてた。

木々の緑が真夏の太陽で照らされて、より一層色を深めている。

そんな風景を、俺は黙って見つめていた。

満奈と別れて、2か月が経った。

まだ・・・2か月しか経ってないのか?

もう、5ヶ月くらいに感じる。

そう錯覚してしまうほど・・・時の流れは遅い。

満奈と2人で笑い合ってた時は、時の流れが異常に早く感じて。

現実はそう上手くいかないんだなー・・・。

蝉の元気な鳴き声を聞きながら、そんな事を考えてた。

満奈・・・。

会いてぇよ。

今すぐ抱き締めて・・・あの小さな唇を奪いたい。

あの甘い声で、俺の名を呼んでほしい。

俺って・・・こんなに満奈に依存してたっけ?

・・・でも、そうかもな。

俺は重度の“満奈依存症”にかかってる。

きっとこの病は、一生治らないんだ・・・。

自分が今考えてる事に、自分で鼻で笑った。